「Beaver Weaver」
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数学に対するメタ数学みたいな感じで、この世界の物理を記述する論理のメタ論理を設定して、戦っている感じ 喧嘩をするにもなにかしらルールは必要で、そのルールから外れて殴り倒そうとするのを、そのルールから外れたものをも再度ルールの中に取り込んで防ぐ、みたいな。なんともわかりづらい説明だ。
(ナルトで例えると)殴られても神威空間に逃げ込めばセーフだが,殴る側も神威空間に入れば殴れるようになる,という話をめちゃめちゃ難しそうに語ってる感じ
194頁「マルティン=レーフ型回避不能弾頭」
201頁「選択公理を選択しますか」
何かを選んで取ってくる操作を,数学では選択公理として定義しており,これは他の公理系と独立なことが知られている
選択公理を用いなくても良いのだが,一般にその数学は貧しい表現力しか持たないので,通常選択公理を認めることが多い
ZF公理系(Zermelo-Fraenkel の公理系)に選択公理( Axiom of Choice )を足したもの ZFCのCはChoiceのC
この不思議なことは無限というものが数学的に非常に扱いの難しいものであることによる。 205頁「エルランゲン・スケール」
19世紀最大の数学者フェリックス・クラインが,エルランゲン大学の教授職に就任する際に示した,今後の幾何学が目指すべき目標の一覧,エルランゲン・プログラムに由来するか 214頁「ティプラー主義者」
博士論文でタイムマシンが存在したと仮定した時,どのような不都合があるかを論じた
基本的に,空想豊かで危うい論述をする人で,デイヴィッド・ドイッチュなど支持する人がいる一方で,疑似科学であると激しく批判されてもいる ドイッチュは大物理学者だが,そもそも間違いも多い人なのであまり信用しすぎないこと
216頁「ベッケンシュタイン・バウンド」
有限の領域は有限のエネルギーしか持たないこと,翻って有限の領域内には有限の情報しか詰め込めないということ.
物には限度がある,ということ
217頁「水からフリーにエネルギーを取り出したと主張する」
疑似科学のお手本のような文章.
フリーエナジーという語は物理学の正式な用語(熱力学などにおける自由エネルギーのこと.ギブスとヘルムホルツ)
しかし,フリーエネルギーという語はエネルギー保存則を破る無尽蔵のエネルギーのことを指しており,100%疑似科学であり,詐欺である
我が国の現状を見ると,なかなか笑えない状況である
218頁「ゴールドスタイン」
大部の古典力学の教科書で有名な物理学者,ゴールドスタインの方ではない
221頁~,オムファロス,創世説
なかなか鋭い指摘で,量子論では,波動関数の収束後の振る舞いがこれにあたる
228頁「ビジービーバー」
ビジービーバー関数は計算不能関数
つい最近,BB(5)の具体的な値がCoqを使って証明された 231「自然数と実数の濃度の間に,他の濃度はあるのかないのか」
採用することはほとんどない
232頁「Aなのか非Aなのか」
これが円城塔が「怖くて書けない」と言っていたことの原因か
全く問題ない,これが原因ではない
円城塔の作品にしては,数理科学の人名や概念が語感だけで転がされている印象が強く,これが「若気の至り」としている原因だろう
実際,ビジービーバー関数が有効に使われているとは到底言えない
物理学を許す公理系については、実はあまり精査されていない感がある
まあ、そもそも量子力学は運動学ではなく、その本質は観測理論であるので量子力学自体が観測の原理だというのはそれはそう。
余談だが、円城塔は量子力学の基礎的な部分への言及がほとんど存在しない。それよりも熱力学や統計力学への言及の方が多い。